ピロリ菌は特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる原因だとして話題に挙がっているわけですが、潰瘍という病気については多くの人が患っているので、誰もが知っているでしょう。

 

潰瘍というのは、皮膚や粘膜、眼球(角膜、結膜)などを覆っている上皮組織(被覆上皮)が何らかの理由で欠損してしまい、下層組織にまで至る状態のことを指しています。

 

「糜爛」(びらん)という疾患名もよく聞くと思いますが、これは潰瘍より軽度の損傷のことで、下層組織に至っていない場合となります。潰瘍ができる部分はいろいろあり、口腔潰瘍(物理的刺激、免疫反応)、皮膚潰瘍、陰部潰瘍などもあるのですが、ことピロリ菌については、胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった消化管潰瘍に大きく影響しています。

 

これらは他の潰瘍よりももともと頻度が高いですし、更に健康への影響も大きいので潰瘍の中でも代表的な存在になっています。

 

こうした消化管の潰瘍は油断することができません。それは消化管で発生する食道癌、胃癌、大腸癌などの悪性腫瘍も、その多くは潰瘍形態になっているからで、これらは主に胃酸が要因となって生じるとされています。

 

ちなみに胃潰瘍や十二指腸潰瘍以外では、食道潰瘍、デュラフォイ潰瘍、急性胃粘膜病変、急性十二指腸粘膜病変に分類されます。

 

原因となるのは、胃粘膜保護の減少につながる防御因子の低下を助長する飲酒、喫煙、ストレス、カフェイン飲料などが推測されますが、最近ではピロリ菌の存在が大きくクローズアップされているわけです。